鹿児島県日置市の地域通貨「とっぱ」とは?関ケ原の戦いが由来の「地域をつなぐ」コミュニティ通貨

日置のコインは「とっぱ」です

引用:遊び心から挑戦がはじまる 日置のコインはとっぱです - 地域の魅力を発見するコミュニティ通貨

鹿児島県日置市で利用できる地域通貨「とっぱ」。「まちのコイン」というアプリを使ったデジタル地域通貨として、地域内外の人々の交流を促進し、新たな挑戦を応援する役割を担っています。

この記事では、「とっぱ」の魅力や使い方、導入背景、そして日置市が描く未来についてご紹介します。

重水憲朗/堀之内美里

(重水)1994年旧東市来町役場に入庁。現在地域づくり課課長補佐として、公共交通、定住促進事業に従事。関係人口創出事業である「ひおきとプロジェクト」も担当しており、情報発信やお試し住宅の利用促進も好調である。また、ひおき武将隊「島津日新斎忠良(日新公)」として日置市の観光PRも行っており、活躍は多岐にわたる。
(堀之内)2015年日置市役所に入庁。農地整備課にて多面的機能支払交付金事業、市民生活課にてマイナンバー推進等に携わる。2023年デジタル庁に出向し、2025年から日置市役所地域づくり課定住促進係にて電子地域通貨「まちのコイン"とっぱ"」の普及等に従事。

Content目次

困難を突き抜ける、日置市のスピリットから生まれた「とっぱ」

「とっぱ」は、スマートフォンアプリ「まちのコイン」を利用した地域通貨です。コインを「もらう・あげる」というコミュニケーションを通じて、地域の人々と楽しくつながることができます。

「とっぱ」が生まれた経緯

「とっぱ」というユニークな名前は、日置市が地域住民と行ったコンセプト会議から生まれました。関ケ原の戦いにおける「島津の退き口」の「敵中突破」をヒントに、日置市の「困難も課題も突き抜けていく」というというスピリットと姿勢を表現し名付けられたのです。

地域通貨「とっぱ」 アイコン

画像引用:日置市公式ホームページ

「果敢に挑戦する人を大切にするまちでありたい」という願いのもと、地域通貨の関係人口を増やし、市内外のつながりを生み出す機運としての活用が期待されています。

地域内外のつながりを生み出すツールとしての期待

近年、人口減少と高齢化が進む中で、地域の担い手確保が課題となっている日置市。この課題解決に向け、市外在住者を対象とした関係人口創出事業「ひおきとプロジェクト」や、メタバースを活用した「ネオ日置」といった取り組みを進めてきました。

地域通貨「とっぱ」 無料で気軽に

画像引用:日置市公式ホームページ

「とっぱ」は、これらの取り組みと連携し、現実世界とバーチャル空間双方での交流を促進することで、地域内外の人々が日置市と主体的に関わる機会を創出することを目的に導入されました。

アプリで簡単!「とっぱ」の始め方・使い方

「とっぱ」は、専用のスマートフォンアプリ「まちのコイン」をダウンロードすれば誰でも利用できます。アプリを開いて日置市を選択すると、「とっぱ」が使えるようになります。

「とっぱ」を貯める方法

地域通貨「とっぱ」の集め方

画像引用:まちのコイン「とっぱ」で日置市を楽しもう!|鹿児島県日置市

「とっぱ」を貯める方法はいくつかあります。

  • 加盟スポットでの体験: 「まちのコイン」に参加している地域のお店や団体(加盟スポット)で、さまざまな体験をすることでコインをもらえます。例えば、お店で特定のサービスを受けたり、地域イベントに参加したりすることで「とっぱ」が得られます。
  • まちのクイズ: 加盟スポットが作成したクイズに挑戦し、正解すると「とっぱ」が増えます。楽しみながら日置市の知識を身につけることができます。
  • ネオ日置での活動: メタバース空間「ネオ日置」にログインしたり、特定のキャンペーンに参加したりすることで「とっぱ」を貯められます。(2025年2月から利用可能)

貯めた「とっぱ」には有効期限があり、取得から90日を過ぎると消滅してしまうため、計画的に利用することが大切です。

「とっぱ」を使う方法

貯めた「とっぱ」は、日置市内の加盟スポットで「体験」と交換できます。例えば、地域のお店で使える割引やサービス、地域のイベントへの参加権など、日置市ならではの体験と交換することが可能です。

地域通貨「とっぱ」 まちのコインの体験価値

画像引用:日置市公式ホームページ

モノの購入ではなく、「体験」と交換するのが「まちのコイン」の特徴です。

日置市が「とっぱ」に込める思いと今後の展望

日置市は「とっぱ」を通じて、地域経済の活性化だけでなく、人々のつながりを深め、地域への愛着を育むことを目指しています。

導入の背景と目的

「とっぱ」は、関係人口創出と移住促進を目的として導入されました。特に、メタバース「ネオ日置」との連携は、「とっぱ」の大きな特徴です。現実とバーチャル双方での交流を促すことで、多様な形で日置市に関わる人々を増やし、地域の担い手不足の解消につなげたいと考えています。

運営体制と利用状況

「とっぱ」の運営主体は日置市です。地域イベントでのPRや広報誌への掲載、スタンプラリーの開催など、普及促進に向けた活動を積極的に行っています。

2025年5月末時点で、ユーザー数は約1460人、加盟スポットは112件に増加。利用者の年齢層は40代から50代が中心で、男女比は半々となっています。

地域内の利用者と地域外の利用者がほぼ同じ割合を占めているのが特徴で、このことから「とっぱ」が地域内外の交流促進に貢献していることが伺えます。

地域通貨がもたらすつながり

「とっぱ」導入による社会的な効果として、地域コミュニティにおける人々のつながりを深める役割が期待されています。

例えば、毎週開催されている地域イベント「永吉銀座のアサカツ」では、「とっぱ」のチェックイン機能が参加者間の共通の話題となり、新たなつながり作りのきっかけになっています。

地域通貨「とっぱ」 永吉銀座 動く永吉

画像引用:「まちのコイン」公式サイト

今後の展開

日置市は、今後も「とっぱ」の利用拡大を目指し、新規ユーザーや新規加盟店の獲得に注力していく方針です。加盟店が増えることで、より魅力的な体験やサービスを提供できるようになり、「とっぱ」の取り組みの幅が広がると考えています。

また、日置市の行政サービスとの連携も拡充し、地域住民にとってさらに身近で便利な存在にしていくことを目指しています。デジタルデバイド対策として、IT機器の利用に不慣れな方向けの講座も今後実施していく予定です。

まとめ

鹿児島県日置市の地域通貨「とっぱ」は、単なる決済手段ではなく、地域内外の人々の交流をもたらすコミュニティ通貨です。

アプリを通じて手軽に様々な「体験」と交換できる「とっぱ」は、日置市の新たな魅力の発見や、市民のコミュニケーションを生み出しています。日置市を訪れる際は、ぜひ「まちのコイン」アプリをダウンロードして、「とっぱ」を体験してみてはいかがでしょうか。

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