宮崎県国富町の地域通貨「しらたまカード」とは?導入背景やメリット、使い方を解説!

宮崎県の中央部に位置する国富町。豊かな自然に囲まれたこの町では、地域経済の活性化を目指し、独自の電子地域通貨「しらたまカード」が導入されています。
今回は、この「しらたまカード」について、その概要から導入背景、利用方法、そして実際に利用している方々の声まで、詳しくご紹介します。
お話を聞いた方
新地 弘佑 国富町商工会
2016年に宮崎県商工会連合会に入所。
2023年に国富町商工会に配属され経営改善普及事業や、地域振興事業に従事。
2024年より"しらたまカード"事業スタートに伴い、システム運営・普及活動等に従事。
Content目次
「しらたまカード」とは?国富町の地域経済を支える仕組み
「しらたまカード」は、宮崎県国富町内の加盟店で利用できる電子地域通貨です。現金をカードにチャージすることで、加盟店での支払いが簡単に行えます。
さらに、チャージ時には「しらたまポイント」が付与され、1ポイント=1円として利用可能です。
通常は1%のポイントが付与されますが、イベント時にはさらに高い還元率になることもあります。地域内での消費を促し、町内の経済を活性化させることを目的としています。
導入の背景と目的
しらたまカードは、国富町内の小規模な商業・サービス業の継続を支援するために生まれました。
お店、行政、商工会が一体となり、地域内で消費する仕組みを作るべく、国富町商工会シール会が2021年に委員会を立ち上げ、導入を検討。
数年にわたる協議を経て、2024年に電子地域通貨事業として開始されました。
運営体制と費用
しらたまカードの運営主体は国富町商工会です。運営にかかるコストは主に商工会が負担しており、プレミアムポイントなどの事業には行政からの補助金が活用されています。主な財源は、商工会の自主財源、自治体からの補助金、そして地域通貨システム利用料(換金手数料1%)となっています。
しらたまカードの始め方・使い方
しらたまカードは、カードタイプとアプリタイプの2種類があり、どちらも手軽に始めることができます。
カードの作り方
しらたまカードは、国富町内の各加盟店または国富町商工会で作成できます。設置されている加入申込書に必要事項を記入するだけで、その場ですぐにカードを受け取り、利用を開始できます。
チャージ方法
チャージは現金の利用が可能です。作成したカードの裏面に記載されたQRコードを加盟店に設置された専用端末機やチャージ機で読み取ることでチャージできます。

画像引用:「しらたまカード」公式サイト
チャージ可能な場所は、加盟店一覧の「現金チャージ」欄に○が付いている店舗や、サンリッチ(株式会社毎日屋)に設置されている専用チャージ機です。

▲「しらたまカード」加盟店一覧
専用端末機やチャージ機での現金チャージ時には、通常1%のボーナスポイントが付与されます。イベント期間中はチャージ率が変動することもありますので、最新情報を確認しておきましょう。
※加盟店情報はR7.6.2時点のものです。最新情報は公式HPよりご確認ください。
支払い方法
「カード利用」に○のある加盟店でのお買い物では、カードまたはアプリのQRコードを提示、またはアプリで決済することで支払いができます。カードでの決済時にはレシートが発行されるので、必ず受け取り、電子マネーとポイントの有効期限を確認しましょう。なお、「カード利用」に○のついていない加盟店では専用アプリでの決済のみとなります。
アプリ連携でさらに便利に
しらたまカードは、専用アプリ「しらたまカード」と連携することで、アプリ上での決済も可能になります。


▲「しらたまカード」アプリ
アプリをダウンロードし、カードと連動させることで、スマホにてチャージから支払いまでが行えるようになります。
アプリのダウンロードや利用方法については、公式サイトで詳しいマニュアルが提供されています。以下のリンクよりご覧ください。
しらたまカード公式サイトでアプリのインストール・決済方法のマニュアルを確認する
電子マネーとポイントの有効期限に注意
しらたまカードの電子マネーとポイントには有効期限が定められています。
- 電子マネー: チャージされた月の月末から5か月間が有効期限です。
(例:4月10日にチャージした場合、4月末から5か月後の9月30日まで有効) - ポイント: 付与された年度末から2年間が有効期限です。(事業年度:4月1日~3月31日)
(例:令和6年4月10日に付与されたポイントは、令和7年3月末から2年後の令和9年3月31日まで有効)
行政ポイントなど、一部異なる有効期限が設定されている場合もあるため、公式サイトで最新情報を確認することが重要です。
しらたまカードの利用状況と利用者層
しらたまカードは、国富町の多くの方々に利用されています。直近1年間では、約1,650人の利用者がおり、取引金額は約1億3千万円、取引件数は約4万5千件に上ります。
利用者の年齢層は60代が最も多く約25%、次いで70代、50代がそれぞれ約20%となっています。

男女比は男性が約60%、女性が約40%です。利用者の約80%が国富町内在住者であり、まさに地域に根ざした通貨と言えるでしょう。

しらたまカード導入による効果と利用者・加盟店の声
しらたまカードの導入は、地域経済に様々な効果をもたらしています。
地域経済・社会への貢献
しらたまカードは、地域内での消費循環を促進し、加盟店の新規顧客開拓につながっています。また、地域住民が町内で買い物をする意識を高め、地域コミュニティの活性化にも貢献しています。
利用者の声
利用者からは、「財布や鞄を持たなくとも、スマホ一つで決済ができるようになって良かった」といった声が聞かれます。手軽に利用できる点や、ポイントが付与されるお得感が高く評価されているようです。
一方で、口座やクレジットカードからのチャージに対応してほしいという要望も寄せられています。
加盟店の声
加盟店からは、「しらたまカードが始まって、新規顧客の開拓に繋がった」といった声があり、売上向上や新たな顧客層の獲得に効果を感じている店舗があります。
しかし、一部の加盟店からは、専用端末の操作がしづらいという課題も挙げられています。
運営上の課題と今後の展望
しらたまカードの運営においては、いくつかの課題も存在します。
運営上の課題
アプリ内での加盟店情報発信があまり活用されていないことや、利用者・加盟店へのサポート体制強化が課題として挙げられています。特に、スマートフォンアプリの操作に不慣れな高齢者への対応がより進むと、利用促進につながるポイントになりそうです。
デジタルデバイド対策として、高齢者向けの説明会開催が検討されていますが、人員不足により実施が困難な状況です。現在は、商工会職員や加盟店が問い合わせに対応しています。
今後の展望
今後、しらたまカードはさらなる利便性向上を目指しています。消費者の利便性向上および加盟店側の業務効率化のため、全加盟店でのQR決済対応を4月より開始しています。
また、朝市などの地域イベントでの特典提供や、将来的には一部の自治体サービスの支払いにも利用できないかなど、検討が進められています。定期的なイベント開催を通じて、町民や町内企業勤務者へのカード普及も図っていく計画です。
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