群馬県片品村の電子地域通貨「おぜだっペイ」:村内の経済循環と地域活性化を促進

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画像引用:片品村地域通貨について|役場の概要|片品村役場ホームページ

群馬県北東部に位置し、尾瀬国立公園の玄関口として知られる片品村。豊かな自然に囲まれたこの村で、新たな地域経済活性化群馬県北東部に位置し、尾瀬国立公園の玄関口として知られる片品村。豊かな自然に囲まれたこの村で、新たな地域経済活性化の取り組みとして導入されているのが、電子地域通貨「おぜだっペイ」です。

QRコード決済を活用したこの地域通貨は、村民生活の利便性向上はもちろん、地域内の経済循環を促進し、活性化に貢献しています。

星野城二

2年の民間経験を経て、2008年片品村役場入庁し「むらづくり観光課」で10年間勤務。  食企画『はげ盛・はげ旨ぇ』や片品村収穫祭の開催、道の駅尾瀬かたしなの立ち上げ等の業務に関わる。 その後「教育委員会事務局」に異動し6年間勤務。社会体育担当として新しい形のスポーツイベント等の企画・運営を行う。 現在は総務課にて情報政策・選挙・地域通貨等を担当している。

Content目次

「おぜだっペイ」とは? その概要と特徴

片品村が発行する電子地域通貨「おぜだっペイ」は、スマートフォンアプリまたは専用カードを利用したQRコード決済システムです。

「だっペイ」という単位が使われ、1だっペイは1円として換算されます。現金を持ち歩くことなく、手軽にキャッシュレス決済ができる電子マネーです。

おぜだっペイ アプリ画面

画像引用:片品村地域通貨『おぜだっペイ』 PR動画

「おぜだっペイ」は、村民はもちろん、村外在住者もアプリを取得すれば利用できます。加盟店数も多く、村内の90%以上の店舗や宿泊施設で利用可能。

セブン銀行ATMや一部の加盟店、片品村役場窓口での現金チャージに対応しており、利用者間の個人間送金機能も備わっています。

導入の背景と目的:地域経済の活性化と行政サービスの簡略化

片品村が「おぜだっペイ」を導入した背景には、地域経済の活性化と行政事務の簡略化という明確な目的がありました。

2023年10月に事業が開始され、それまで片品村商工会が紙で発行していたプレミアム付商品券事業を電子化し、片品村役場総務課が主導する形で運営されています。

地域通貨に有効期限を設定し、利用可能店舗を村内に限定することで、村内で経済が循環する仕組みを構築しています。

また、庁内の様々な行政サービスと地域通貨を結びつけることで、行政サービスをより利用しやすくしつつ、村内での経済活動を活発化させる狙いもあります。給付金支給やイベントの賞品として「おぜだっペイ」を利用することで、役場の業務効率化にも貢献しました。

「おぜだっペイ」の仕組み:チャージから利用、精算まで

「おぜだっペイ」は、アプリをインストールするか、片品村役場総務課窓口でカードを発行して利用します。チャージは現金のみで、セブン銀行ATMや一部加盟店のほか、役場窓口でも対応可能です。

おぜだっペイ 決済

画像引用:片品村地域通貨『おぜだっペイ』 PR動画

チャージされたマネーやポイントは、村内の加盟店で商品やサービスの購入に利用できます。

決済は、加盟店が利用者のQRコードを読み取るか、利用者が加盟店のQRコードを読み取るだけ。シンプルで利用しやすいのが特徴です。

また、精算作業は片品村が一括して行うため、加盟店の業務を圧迫することもありません。

運営体制と費用:村主導で進める地域通貨事業

「おぜだっペイ」の運営は、片品村役場総務課が中心となり、必要に応じて村内の各所属課や商工会、観光協会も連携して行っています。運営コストは片品村の予算で賄われており、財源には自治体予算のほか、地方創生臨時交付金などの国からの交付金も活用されています。運営にかかる主な費用は、システム利用料、啓発品の購入費、各事業のポイント換金代などです。

運営上の課題としては、システム利用料の費用負担が大きいことや、限られた人数での利用者・加盟店サポート体制の強化が挙げられています。

経済・社会効果と今後の展望:広がる「おぜだっペイ」の可能性

「おぜだっペイ」の導入は、地域経済や社会に様々な効果をもたらしています。実際に、直近1年間では約2億6千万円にのぼる取引があり、村内の経済循環を後押ししました。

「おぜだっペイ」が生んだ社会効果

社会効果としては、地域通貨を利用したイベント開催を通じて、住民間の交流が促進された事例があります。慰労会などでも「おぜだっペイ」が利用され、地域コミュニティの活性化に貢献しました。

地域通貨の利用推進だけでなく、住民の健康意識向上にもつながる「歩くとポイントがもらえる事業」など、取り組みの幅は広がりつつあります。

「おぜだっペイ」の課題と目指す姿

利用者からは、小銭を持ち歩かなくて良い点がメリットとして挙げられる一方、高齢者にとってはスマートフォンの操作が難しいという課題もあるようです。

アプリの利用が難しい場合はカードを発行し、総務課窓口が個別にサポートを行うことで対応しています。加盟店からは、手数料がかからず、入金手続きが不要な点が評価されています。

おぜだっペイ キャンペーン

画像引用:キャンペーンチラシ(現在は終了)

チャージ金額や利用額に応じてプレミアムポイントが上乗せされるキャンペーンを実施するなど、さらなる利用促進にも力を入れています。片品村は、今後も予算が確保できる限り毎年プレミアムチャージキャンペーンを実施したい意向です。

また、新たな事業展開や利用拡大、観光客誘致、さらには移住定住促進につながるような事業展開も検討されています。自治体のHPや観光協会のSNS、新聞掲載などを通じた広報活動も積極的に行われています。

地域経済の活性化、住民生活の利便性向上、そして地域コミュニティの活性化に貢献する片品村の電子地域通貨「おぜだっペイ」。今後のさらなる展開にも注目が集まります。

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