豊中市のデジタル地域通貨「マチカネポイント」の魅力と効果とは?キャッシュレスでつなぐ市民と街の未来

大阪府豊中市で2022年から始まったデジタル地域通貨「マチカネポイント」。
物価高やコロナ禍で落ち込んだ地域経済を立て直し、市民生活を支える新たな試みとして注目を集めています。
スマートフォンを使った簡単な決済でお得に買い物ができるだけでなく、地域のイベント参加を促したり、市からのお知らせを届けたりと、多彩な役割を担うコミュニティツールへと進化しつつあります。
お話を聞いた方
結城 拓也
平成27年に豊中市役所に入庁。令和4年より産業振興課に配属され、デジタル地域ポイント「マチカネポイント」の普及等、産業振興施策の推進に従事
Content目次
導入の背景:地域経済を支え、デジタル化を推進
「マチカネポイント」導入のきっかけは、新型コロナウイルス禍による消費低迷と物価上昇でした。
豊中市では家計負担の軽減と市内消費の喚起、そしてキャッシュレス化の推進を目的に、2022年に独自のデジタル地域通貨の導入を決断します。
名称の「マチカネ」は、豊中市公式キャラクター「マチカネくん」に由来しています。
1ポイント=1円として使えるポイントを市民に提供し、地元で使ってもらうことでお金の循環を地域内に留める狙いです。
マチカネポイントの仕組みと使い方:誰でも簡単、スマホでお得
「マチカネポイント」は専用のスマートフォンアプリで利用します。
まずアプリをダウンロードし、氏名・住所などを登録すれば利用開始できます(アプリ利用料は無料です)。
マチカネくんが出迎えてくれます。マチカネくんは、約45万年前に市内の待兼山(まちかねやま)に生息していたといわれるマチカネワニがモデルとなっています。


▲マチカネポイントアプリ
マチカネポイントの貯め方
「マチカネポイント」は、豊中市や民間事業者が開催するさまざまなイベントや取り組みに参加することで付与されます。
例えば、市のスマホ教室に参加したり、様々な講習会への参加やアンケートへの回答などでポイントが付与されます。
市の取り組みの例
- ファミリー・サポート・センター会員登録説明会:参加で100ポイント
- 花とみどりの講習会:参加で100ポイント
- 応急手当講習会:参加で100ポイント
民間事業者の取り組みの例
- 地域のイベントでクイズラリーに参加し、クイズに正解した方に100 ポイント付与
- ショッピングセンターのセール期間中、館内に掲示されているQRコードを読み取ると1日30ポイント付与
- 商店街の抽選会の景品として当選した方に5,000ポイント付与
マチカネポイントの使い方
貯まった「マチカネポイント」は、市内の登録店で1ポイント=1円として利用できます。
支払い時は店舗掲示のQRコードをスマホで読み取り、操作をすれば決済完了です。現金要らずでスムーズに支払いができます。


引用:豊中市「マチカネポイント」アプリ資料
さらに期間限定ではありますが、チャージ機能も備わっており、自分でポイントを購入して増やすことも可能です。クレジットカードやセブン銀行ATMからの現金チャージによってポイントをチャージでき、チャージ額の5%分のポイントを上乗せするキャンペーンも実施され、現金よりお得に使える工夫がされています。
広がる利用状況と地域への効果:市民に浸透し地域経済を活性化
サービス開始から2年以上が経過し、「マチカネポイント」は着実に市民生活に浸透しています。現在、累計で約14万5000人がアプリに登録しており、利用者規模を拡大してきました。
加盟店も約1,600店と幅広い業種の店舗が参加しており、スーパーや飲食店はもちろん、ドラッグストアや書店まで、市内各所で「マチカネポイント」が利用できます。
市が発行したプレミアム付デジタル商品券(家計応援券)では、40%ものプレミアム分が付与されるお得さから多数の申込みがありました。(現在は発行終了)

例えば5,000円で7,000円分のポイントを入手できるため、家計に嬉しい支援策となり、市内での消費を大きく後押ししました。この商品券によって地域のお店には「売上が増えた」「新規のお客様が来た」など嬉しい声が届いています。
また、「マチカネポイント」は単なる経済施策に留まらず、社会的な効果も生んでいます。スマホ決済に不慣れだった高齢者がポイント付与をきっかけに講習会に参加し、使い方を習得できた例も見られます。
ポイントをきっかけに健康イベントや防災訓練に参加する人が増えるなど、地域活動への参加意欲を高める効果も出ています。地域コミュニティの活性化にも一役買っているのです。
アプリの機能と特徴:クーポン配信から行政サービスまで
「マチカネポイント」アプリには、決済とポイント機能以外にも便利な機能が多数搭載されています。
単にポイントを貯めて使うだけでなく、地域に密着した情報発信ツールとしての顔も持っています。
- デジタルクーポン配信: 加盟店はアプリ上でお得なクーポンを発行でき、ユーザーはアプリ内の「クーポン一覧」から利用できます。
- 行政からの情報配信・アンケート: アプリで豊中市からのニュースやイベント情報が通知され、アンケートに回答することもできます。市政情報を逃さず確認でき、市民の声を行政に届ける手段にもなっています。



将来展望と課題への対応
順調に普及が進むマチカネポイントですが、さらなる飛躍に向けた展望と、乗り越えるべき課題も見えてきました。豊中市はこれらに対して積極的に対応策を講じています。
2024年度より、店舗以外にも、順次公共施設の利用料や証明書発行手数料などの行政サービスの支払いにもポイント決済の導入を進めており、市は関係部局と連携し、利用対象となる手続きの拡大を進めています。
また、デジタルデバイド(情報格差)への対策にも力を入れています。スマホ講習会の開催など高齢者への支援を続け、「誰一人取り残さない」よう工夫を重ねています。
よくある質問
Q. マチカネポイントは誰でも利用できますか?
A. 市民以外でもアプリの利用は可能です。ただし、一部のポイント付与イベントやプレミアム商品券等は豊中市民対象の施策です。
Q. マチカネポイントの有効期限はありますか?
A. マチカネポイントの有効期限は、最後にポイントを利用した日(または最後にチャージした日)から2年間です。それを過ぎるとポイントは失効してしまうので注意が必要です。なお、キャンペーンなどで付与されたポイントは事業ごとに異なる期限が設定される場合があります。
Q. スマートフォンを持っていない場合は利用できませんか?
A. 現状、アプリでの提供のためスマートフォンが必要です。スマホ操作が不安な方向けには講習会などを開催しています。
Q. 困ったときの問い合わせ先はありますか?
A. マチカネポイント運営事務局が問い合わせ窓口です。アプリの操作方法や不具合など、困ったときはこちらに相談できます。
マチカネポイント運営事務局コールセンター
電話:0120-56-1313 平日9時から17時15分まで
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