千葉県市原市の「いちはら推し活制度」:地域を「推す」新たなポイント制度

千葉県市原市では、地域をより良くしたいと活動する市民活動団体と市民をつなぐ独自のポイント制度「いちはら推し活制度」、通称「イチ推し」が運用されています。
この制度は、地域経済の活性化を主な目的とせず、市民が主体的に地域活動に関わり、支え合うコミュニティを育むことを目指しています。2023年から始まったこの取り組みは、地域を「推す」という新しい視点から、多くの市民の参加を促しています。
お話を聞いた方
沼倉誠人
2010年に入庁。国民健康保険課、教育総務課、人事課等を経て、2025年4月より地域連携推進室にていちはら推し活制度(イチ推し)の普及促進、地域住民による地域課題解決に向けた活動の支援業務に携わる。
Content目次
「イチ推し」制度の仕組みとは?
「イチ推し」は、市原市独自のデジタルポイント制度です。市民は、市が指定するポイント対象事業、例えば市民活動団体が主催するイベントなどに参加することでポイントを獲得できます。
ポイントの獲得方法
ポイントの獲得方法はとてもシンプルです。対象事業の会場などに設置されたQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、手軽にポイントが貯まります。
これにより、ポイント獲得がイベント参加などのきっかけとなり、市民が地域活動に積極的に関わる動機付けとなっています。

画像引用:市原市公式ホームページ
貯めたポイントの使い道
獲得したポイントにはいくつかの使い道があります。一つは、応援したい市民活動団体への寄付です。寄付されたポイントは、団体活動の支援に繋がります。市民活動団体へはこれまでに約129万ポイント(129万円分)寄付されています。
また、市の魅力的な商品と交換したり、協力店でサービスを受ける際に利用することも可能です。
▼ポイント交換画面

「イチ推し」が目指す地域とのつながり
単にポイントを貯めて使うという経済的な側面だけでなく、市民が地域活動に関わるきっかけを作り、地域コミュニティを活性化することを重要な目的としています。
市民活動団体の応援を通じた地域づくり
ポイントを市民活動団体に寄付できる仕組みは、「イチ推し」制度の核となる部分です。
これにより、団体は寄付されたポイント数に応じてクオカードを受け取ることができ、活動資金の一部を得ることができます。また、市民は自分の応援したい活動を直接的に支援することができます。

画像引用:市原市公式ホームページ
これは、経済的な支援だけでなく、市民の「推し」という気持ちが団体の活動を後押しし、地域全体の活性化につながることを目指しています。
地域資源の再発見と活用
ポイント交換できる市の魅力的な商品や、ポイントが使える協力店は、市原市内の様々な事業者や特産品を含んでいます。
▼ポイントで交換できる特産品等の例


これにより、市民は地元の隠れた魅力に触れる機会が増え、地域経済の活性化にも間接的に貢献しています。情報は市のウェブサイトやSNSで常時発信され、周知効果も期待されています。
制度の現状と今後の展望
「イチ推し」制度は2023年度から運用を開始し、これまでに多くの市民が登録・利用しています。
現在の利用状況と利用者層
現在の登録者数は約4,500名に上り、累計獲得ポイントは約178万ポイントに達しています。ポイントの使い道は団体への寄付が最も多く、次いで魅力的な商品との交換や協力店でのサービス利用が続きます。利用者は、地域活動への関心が高い層が中心であると考えられます。
寄付を受けた団体からは、活動で使用する消耗品や防災備品の購入に活用できました、という声や、応援メッセージと捉え活動の励みになりました、という声が寄せられ市民活動の活性化につながっています。
運営体制と課題
運営は市が主体となり、商品の発送や登録会の実施などの一部業務は市商工会議所や外部コーディネーターに委託しています。
課題としては、利用者のさらなる拡大に向けた周知方法の確立や、より利用しやすいシステムの整備、魅力ある商品および協力店の充実といった点があります。
デジタルデバイド対策として、スマートフォン操作に不慣れな方向けの登録会や、市民活動団体への説明会なども実施し、サポート体制を強化しています。
「いちはら推し活制度」は、経済的な効果を主目的とする地域通貨とは異なり、「支えあう地域の醸成」に重点を置いています。市民が地域活動を「推す」ことを通じて、人々と地域が想いでつながる、市原市ならではの新しい形の地域活性化を目指しています。
一覧に戻る