和歌山県橋本市の地域通貨「Hashi-Mo(ハシモ)」とは? 地域経済を活性化するデジタル通貨の魅力

和歌山県橋本市で導入されているデジタル地域通貨「Hashi-Mo(ハシモ)」。地域経済の活性化や行政課題の解決を目指して誕生したこの地域通貨は、市民の暮らしをより便利に、そして地域とのつながりを深めるツールとして注目されています。
「Hashi-Mo」の仕組みや使い方、そして地域にもたらす効果について詳しくご紹介します。
お話を聞いた方
岡浦 義宏/久米田 尊
平成25年入庁。道路管理、上下水道経営、税務を経て、令和7年度から政策企画課の係長として、デジタル地域通貨「ハシモ」の普及等、DX、政策事務に従事。(岡浦)/平成29年入庁。生活保護ケースワーカーを経て、令和4年度から政策企画課で、デジタル地域通貨「ハシモ」の導入に貢献。その後、ハシモの普及、情報・政策事務に従事。(久米田)
Content目次
Hashi-Mo(ハシモ)とは? 地域経済を元気にする橋本市独自の地域通貨
「Hashi-Mo」は、橋本市内のさまざまな店舗で使える地域通貨です。スマートフォンアプリまたは専用カードを使って、現金不要のキャッシュレス決済ができます。
「Hashi-Mo」の導入は、地域経済の活性化や地域課題の解決を目的として2023年に開始されました。それまで紙の商品券が使われていましたが、デジタル化によって利便性が向上。名称は公募によって「ハシモ」と親しみやすい名前がつけられました。
Hashi-Moの使い方:アプリとカード、あなたに合ったスタイルで
Hashi-Moを利用するには、スマートフォンアプリ「chiica(チーカ)」を使う方法と、専用のカードを使う方法があります。どちらか一方を選んで利用できます。
アプリ型【推奨】
スマートフォンをお持ちの方におすすめなのがアプリ型です。地域通貨アプリ「chiica」をインストールし、氏名や住所などの情報を登録すればすぐに利用を開始できます。QRコードを読み取るだけで簡単に決済が完了します。

画像引用:橋本市公式サイト
アプリのインストール方法や会員登録方法は、橋本市のウェブサイトに掲載されているPDFファイルや外部サイト「chiica公式HP」で詳しく確認できます。
また、アプリの削除後の再インストールや機種変更時の引き継ぎ方法についても、丁寧に解説されています。
カード型【利用店舗が限られます】
スマートフォンを持っていない方やアプリの利用が難しい方のために、専用の「Hashi-Mo」カードも用意されています。
ただし、カード型は橋本市内在住者のみが発行対象で、アプリとの併用はできません。また、アプリ型に比べて利用できる店舗が少なく、カードの盗難や紛失時の再発行や返金はできない点に注意が必要です。
カードの残高は、加盟店舗での会計時やセブン銀行ATM、またはコールセンターで確認できます。カード裏面のQRコードからは残高確認ができないため、注意しましょう。
Hashi-Moが利用できる場所:市内全域の約350店舗で利用可能
「Hashi-Mo」は、橋本市内の約350店舗で利用できます。(2025年6月現在)
飲食店やスーパーなど、さまざまな業種の加盟店で利用できるため、日々の生活の中で幅広く活用できます。利用可能店舗は今後も拡大していく予定です。
加盟店は、市の公式サイトで随時更新されているほか、アプリ内の「使えるお店」でも確認できます。
Hashi-Mo活用事業:ポイントを貯めてお得に利用
「Hashi-Mo」は、単なる決済手段としてだけでなく、さまざまな事業と連携してポイントが付与されるツールです。

画像引用:橋本市公式サイト(さんかくポイント)
- さんかくポイント: ボランティア活動やセミナー、イベントへの参加でポイントが付与されます。地域活動への参加を促進し、地域を元気にする取り組みです。
- 推進ポイント: 各課推進事業への参加でポイントが付与されます。市のさまざまな取り組みへの参加を促すものです。
- 橋本市プレミアム付デジタル地域通貨: 期間限定でプレミアムが付与されるお得な商品券事業です(令和7年度は5月16日開始、令和8年1月30日終了)。
- 橋本市転入夫婦新築住宅取得補助金: 転入した夫婦が新築住宅を取得した場合に補助金として「Hashi-Mo」ポイントが付与されます。
これらのポイントは、付与年度の翌々年度末まで利用可能です(プレミアム付デジタル地域通貨を除く)。

画像引用:橋本市公式サイト(2025年プレミアム付デジタル商品券事業)
プレミアム付デジタル商品券は、購入後、以下の方法でチャージができます。
- クレジットカード: アプリから手軽にチャージできます。
- セブン銀行ATM: 全国のセブン銀行ATMでチャージが可能です。
- 市内の郵便局: 令和7年度からは、市内の郵便局でも対面でのチャージができるようになり、より便利になりました。
自分のライフスタイルに合わせて「Hashi-Mo」を利用できます。
また、「Hashi-Mo」アプリでは、利用者間でポイントを送受信できる機能や、加盟店独自のクーポン機能も提供されており、利用の幅を広げています。

画像引用:橋本市公式サイト(アプリご利用者同士でポイントの受け渡しができます!)
Hashi-Moの運営体制と今後の展望
「Hashi-Mo」の運営は、現在は橋本市が主体となって行っていますが、今後は商工会を中心に運営規模を拡大していく予定です。運営費用は、自治体予算と国の交付金によって賄われています。
プリペイドカードの発行も検討段階であるなど、さらなる利便性の向上を目指しています。
デジタルデバイド対策:誰でも安心して利用できるサポート体制
「Hashi-Mo」はデジタル地域通貨のため、スマートフォンやIT機器の利用に不慣れな方へのサポートを充実させています。
各地区の公民館でスマートフォン教室が開催されており、アプリのインストールや操作方法について学ぶことができます。
また、携帯キャリアの協力も得ており、特設日には、携帯ショップでもアプリ導入の支援を受けることが可能です。高齢者などデジタル機器の扱いに不安がある方でも、安心して「Hashi-Mo」を始めることができます。
Hashi-Moの経済・社会効果:地域経済活性化と市民の意識変化
「Hashi-Mo」の利用者数は約21,000人に達しており、多くの市民に利用されていますが、利用者の約8割が市内在住者であり、まさに地域に根ざした通貨として機能しています。
また、社会的な効果として、既存のボランティア事業に「Hashi-Mo」ポイントを付与することで、地域活動への参加が進んでいます。
市のイベントやボランティアへの参加を通じてポイントが付与される仕組みにより、単なる決済手段にとどまらず、市民が地域活動に参加するインセンティブとなり、地域の一体感を高める効果も期待されています。
さらに、地域通貨の導入がきっかけとなり、高齢者のスマートフォンへの関心が高まり、スマートフォン教室の参加者が増加するなど、デジタル化への意識向上にもつながっています。
まとめ:地域と共に進化するHashi-Mo
「Hashi-Mo」は、地域経済の活性化や地域課題の解決を目指し、着実にその利用を広げています。アプリとカードという2つの選択肢、地域活動との連携によるポイント付与など、市民にとって利便性が高く、地域への関心を高める仕組みが整えられています。
今後も利用可能店舗の拡大や機能拡充が進められることで、「Hashi-Mo」はさらに地域に根ざし、橋本市を元気にする重要なツールとなっていくでしょう。
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