地域通貨「Toron」:宮崎県川南町を元気にする電子通貨、その魅力と未来

宮崎県川南町で2020年9月から運用されている電子地域通貨「Toron(トロン)」。
コロナ禍をきっかけに導入された「Toron」は、地域経済の活性化、キャッシュレス化の推進、マイナンバーカード普及促進を目的として、町民の生活を支えるツールとして成長を続けています。
1トロン=1円として利用できる「Toron」の魅力、現状と未来、そしてその可能性について詳しく解説します。
お話を聞いた方
河野
民間企業や大学職員を経て2024年川南町役場に入庁し、電子地域通貨「トロン」の業務を担当。地域通貨の普及促進や、商工観光施策の推進に従事。
Content目次
Toronの概要
「Toron」は、株式会社トラストバンクと連携し、QRコード決済方式を採用した電子地域通貨です。
地域経済の活性化を図るため、コロナ禍で落ち込んだ消費の回復、キャッシュレス化の推進、そしてマイナンバーカードの普及促進を目的として導入されました。
以前は紙の商品券を発行していましたが、デジタル化によって事務手続きの簡素化、リアルタイムな利用状況の把握、迅速な政策実施が可能となり、利便性が向上しました。
Toronの利用方法
「Toron」は、誰でも簡単に利用できるように、2つの利用方法と多様なチャージ方法を用意しています。
利用方法:アプリとカード

スマートフォンアプリchiica(チーカ)は、加盟店のQRコードをアプリで読み取るか、利用者のQRコードを加盟店側で読み取ることで決済が完了します。
カードは、加盟店の端末でQRコードを読み取って決済します。カード型はスマートフォン等を持っていない方でも利用可能です。
チャージ方法
川南町商工会で、年間を通して対面・現金でのチャージを受け付けています。
これに加え、プレミアム販売期間中はセブン銀行ATMとクレジットカードで24時間全国どこでもチャージ可能です(アプリのみ)。
Toronの加盟店と利用状況
Toronは、町内の多くの店舗で利用でき、活発に利用されています。その現状についてご紹介します。
加盟店
Toronの加盟店は、2025年5月31日現在で193店舗。
サービス開始当初の63店舗から大幅に増加しました。町内の事業者に加え、毎月第4日曜日に開催される軽トラ市に出店している事業者も加盟店として登録されています(町外の軽トラ市出店者は軽トラ市開催時のみ利用可能)。

利用状況
「Toron」の利用者数は約4,000人。アプリ利用者とカード利用者の比率は95%対5%で、デジタルシフトが進んでいます。
2023年度の取引金額は約3億7,900万円、2024年度は約5億1,000万円(2025年3月31日現在)と、順調に増加。
年間流通額は5億円を超え、地域経済への貢献度を高めています。
利用者属性
「Toron」アプリ利用者の属性は、年齢層は40代が最も多く約12.7%、次いで50代が約10.5%、30代が約8.8%。男女比は男性約25.7%、女性約41.8%です。居住地は、約9割が町内在住者です。
Toronの運営体制と費用
「Toron」は、川南町と商工会が連携して運営しています。運営主体は川南町で、産業推進課が事業の企画とシステム運営を担当しています。
運営コストは川南町が負担し、プレミアム分は県等の補助金で賄われています。また、川南町商工会に事業補助、加盟店拡大、精算経理事務を委託し、スムーズな運営を図っています。
Toronの効果と将来性
「Toron」発足の目的であった、地域経済への貢献や、コミュニティ強化についてはどうなっているでしょうか。
地域経済とコミュニティへの貢献
「Toron」は、地域経済の活性化に大きく貢献しています。
総流通額の増加に加え、加盟店と利用者のコミュニケーション増加にも繋がっています。ボランティア活動へのポイント発行やイベント景品としての活用などを通して地域コミュニティも活性化しています。
また、物価高騰対策として、一定額以上の決済で食料品と交換できるイベントを実施するなど、町民の生活支援にも取り組んでいます。
将来性:多様なサービス連携による進化
「Toron」は決済機能に加え、将来的には個人間送金機能の追加や、行政サービスとの連携、健康ポイント事業との連携など、さらなる機能拡充を検討しています。
町民にとってより利便性の高い地域通貨を目指し、進化を続けています。
加盟店登録について
川南町内で事業を営む方は、「Toron」加盟店に登録できます。「Toron」の加盟店になるには、川南町電子地域通貨取扱店登録申請書を川南町商工会1階TMOに提出します。
町内で店舗や事業所を構え、消費者に直接商品やサービスを提供している事業者であれば、誰でも申請可能です。
よくある質問
Q1:Toronはどこで購入できますか?
A1:川南町商工会1階(TMO)で購入できます。川南町役場では販売していません。
Q2:Toronのチャージはどこでできますか?
A2:川南町商工会で年間を通して現金チャージが可能です。加えて、プレミアム販売期間中はセブン銀行ATM、クレジットカードでもチャージできます(アプリのみ)。
Q3:町外に住んでいてもToronを利用できますか?
A3:はい、利用できます。
Q4:Toron加盟店はどこで確認できますか?
A4:川南町役場のウェブサイト及びアプリ内で確認できます。
Q5:Toronに関する問い合わせはどこにすれば良いですか?
A5:川南町役場産業推進課、または川南町商工会にお問い合わせください。
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